ジャズクラリネット修業!

ジャズ,クラリネット

私、鈴木学は各種サックスサクソフォン)、フルートに加えて、クラリネットも演奏します。名古屋大学のサークルで、最初に習得に取り組んだのがテナーサックス、その後ソプラノサックスバリトンサックスと手を広げ、20歳代前半ごろから、クラリネットにも挑戦しました。

クラリネットは難しい!

クラリネットをやろうと思ったのは、当時所属していたプロのジャズビッグバンドで、デューク・エリントンの楽曲を取り上げていた事に影響を受けてです。エリントン楽団のサックスセクションメンバーは、頻繁にクラリネットへと持ち替えて演奏します。そしてそのサウンドが、大変魅力的なのです。私もそのクラリネットの雰囲気を自ら味わってみたいと考えました。

しかし、楽器を入手し、さあ練習に取り掛かろうとしたところで、早くも軽く後悔しました。新たな楽器に取り組む場合、まずはその楽器の運指を覚えることが大切になります。初めて目の前にクラリネットの運指表を広げた段階で面食らいました。さっぱり分からないし、そもそも運指表がでかい、広い、長い!

サックスと比べると、クラリネットの運指は別物レベル、しかも大変に難解だという事が理解できました。これは大変なものに手を出してしまったと怯みつつ、少しづつ練習を進めました。

今現在も、私はクラリネットの運指を完全にマスターしているとは思っていません。他の楽器と比べると、正直、若干たどたどしいです。それでも何とか、それなりに人様にお聞かせできそうな音色は得られたので、少しずつビッグバンドのステージで使い始めました。

プロの演奏者としての私は、運指技術について他の奏者よりもハッキリと劣っていると自覚しています。しかし、各楽器を最適に「鳴らす」技術に関しては自信があります。今までに合計10種類前後の楽器の演奏を、様々な音響環境のステージ上で体験してきた事が、その基礎になっていると考えています。

デキシーランドジャズバンドに参加!

その後もビッグバンドのステージで細々と使い続けていたのですが、そもそも持ち替えの使用では、それほど多くの演奏経験は得られません。あまり上達が感じられないまま、2,3年が経過しました。

その以前から、デキシーランドジャズバンドのお仕事をいただいていました。当初はソプラノサックスを用いて演奏に参加していました。まだクラリネットが巧みに演奏できなかったから、代わりに音域の似ているソプラノサックスで代用していたのですね。ちなみにデキシーランドジャズというはこんな感じになります。

クラリネット、カッコいいですよね?やはりソプラノサックスよりも、クラリネットが吹きたいという事で、思い切ってデキシーの現場にクラリネットを持ち出しました。

人前で演奏すると急速に楽器は上達する」、この時それを始めて実感しました。その後、ステージで使うたびにクラリネット演奏に慣れていき、後に1カ月半毎日デキシーランドジャズを演奏するお仕事をいただいた際、ほぼ完全にクラリネットをマスターできました。

楽器の特性に合わせる!

先ほど「運指をマスターできていない」と言いつつ、「ほぼ完全にマスターした」とはどういうことか?要するにクラリネットの扱い方が理解できたのです。クラリネット、サックス、フルート、各楽器ごとに、その楽器ならではの特性があります。ですから、この3種類を吹きこなそうという場合、それぞれの特性を生かした演奏をするべきなのです。つまり、この頃の私は、クラリネットの運指を完全にはマスターしていないけど、クラリネットの特性を活かした、ジャズクラリネットらしい演奏を身に着けることができたという事なのですね。

ジャズアドリブをする際、手にしている楽器の特性によって、大なり小なりフレージングが影響されます。つまり楽器によって演奏しやすい音列、演奏し辛い音列が分かれるので、どうしてもアドリブの際は演奏しやすい方のフレージングに偏るのです。

さらに言えば、その楽器に似合う音列、似合わない音列という区別も生じます。私は、1カ月半、毎日クラリネットで即興をする中で、サックスとは異なるクラリネットに似合うフレージング、演奏しやすいフレージングを見出したのです。

そのことは、今の私にとって大変大きな財産となっています。この後にフルートにも手を広げることとなるのですが、3種類の楽器、各々の特性に応じたフレージングをマスターすることで、自分の中の歌心の世界が、大きく広がりました。結局サックスでアドリブする際にも、クラリネット、フルートをマスターした良い成果が、反映されるようになったのです。

何と言っても理屈抜きに、クラリネットの音色は大好きです。今も時折手にして演奏すると、何とも言えない良い気分になります。色々と楽器を習得するために、苦労もしたけど、得たものはそれ以上に大きいと信じています。だってそれだけいろいろな種類の楽器の音色を、自らの演奏で楽しめるのですから。

さて今回はこのくらいにしておきたいと思います。続きはまた次回に...。