デビュー前、サックスの練習に没頭!

サックス(サクソフォン)

これまで、私、鈴木学サックスサクソフォン)奏者としてデビューした後の出来事について書いてきましたが、今回はその段階に至る前、大学生ながら、ほぼ毎日朝から晩まで、サックス、ジャズの練習に没頭していたころのお話を紹介しましょう!

無心にサックスを吹き続ける!

お話の前に一言、現在サックス(サクソフォン)等、楽器演奏に取り組んでいる皆さんは、今回のエピソードをそのまま真似しようとしないでください。当時の私は、本当に何もわからず、やみくもに取り組もうとしていたせいで、このような無茶な練習をしていたのであって、情報が豊富に存在する現代では、これと同じ苦労をする必要はありません。もっと効率的に上達することは可能です(私自身、この頃の無理のせいで、いまだに指の腱鞘炎に悩まされています。ご注意くださいね!)。

音楽、楽器

今になって思い返してみると、何故この時期に、集中的にサックスの練習をしようと思い立ったのか、謎なのですが、とにかく名古屋大学経済学部3年生になった当時の私は、今年はとにかく一年間、全力で楽器の習得に取り組もうと決意しました!

決意するにあたって、自分なりにルールを設けました。とにかく軽音楽部(ジャズビッグバンド部みたいな感じ・・)の部室に毎日、朝の9時に向かう、そして食事の時間を除いて、夜の9時まで練習しよう(大学の授業はどうした??)!そしてその後一年間、正月3が日を除いて、毎日、それを実行しました!

練習、練習、練習!

午前中は、とにかくロングトーン練習(音を長く吹きのばす練習)に集中しました。繰り返しになりますが、当時は何にも知識が無かったので、とにかく一つの音を5分間(もちろん息継ぎをはさみつつ)、時計を見ながら伸ばし続けました。そしてまた次の音を5分間・・。そして一通りの音を吹き終えたら、次は音量を変化させるロングトーン・・。けっこうあっという間に午前中の練習は終了しました。

音楽

午後のメニューは、夕方からのバンド練習の有無によって、若干時間配分を変えていました。それでもまずは各種音階練習スケール練習)からスタートしました。これを2~3時間、その後はエチュード(練習曲集)のマスターに取り組みました。

その当時、毎日必ず初めから終わりまで吹ききっていたエチュードが、【クローゼ: サクソフォンのための日課練習曲】です。この本は、まさしくサックス吹きにとってのバイブルです!主に運指技術のマスターが見込まれる本です。しかし、通常の教本ならば、取り組んだ時間に応じた成果が得られるものですが、クローゼは違います。かけた時間以上に上達するのです!「魔法の教本」です!私自身、今現在の自らの演奏技術を支えているのは(大した技術ではありませんが・・)、この本によって得られたものと確信しています。

その後は、日によって、別のエチュードに取り組んだり、ジャズの楽曲を練習したり、有名奏者の名演を耳コピーしたり、軽音楽部の仲間とジャズ演奏をしたり、様々に過ごしていましたが、それでも必ず毎日午後9時までは部室に残り、テナーサックスを吹き続けていました。

振り返って・・

一年経つ頃には、何とかプロでやっていけるだけの、土台ぐらいは身についたかと思います。そしてあくまで学生バンドの狭い世界の中の話ですが、演奏が高く評価していただけるようにもなりました。頑張れば必ず何かが得られるのだと、小さな自信を得られました。

ただ先ほども書きましたが、この時期の無茶のせいで、腱鞘炎を発症してしまい、この後はこの当時ほどの練習時間を費やすことが身体的に難しくなってしまいました。はたして、この一年間が良かったのか悪かったのか?

クラリネット

そもそも、プロでやれるだけの技術を身につけなければ、サックス、ジャズのプロになろうとすることも無かった、言葉を変えれば「道を踏み外す事も無かった」わけです。ひょっとしたら普通に趣味として音楽に取り組んでいた方が幸せだったのかも?と考えることは今もあります。

しかし、当時の私はとにかく、納得いくまでやり切ってみたかったのです。中途半端に続けるよりも、後で後悔する事の無いように、徹底的にやり切ってみたかったのですね。その結果、もちろん学業は疎かになり(人よりも長い間学生を務めました・・)、道を踏み外し(両親には本当に迷惑を掛けました)、今に至るわけです。

まあ、人生の善し悪しは、最後になって振り返ってみなければ、本当のところは分からないものでしょう。それでもこの当時の経験のおかげで、「何事に対しても徹底的にやり切る」という姿勢が身についたことは、疑いのない事実だと思います。私自身、何ら人様に対して誇る部分の無い、凡庸な人間だと自覚していますが、一つだけ自信があるのは「しつこい」ことです。

その「しつこさ」が身についたのは、この当時の努力と小さな満足のおかげだと信じています。「継続は力なり」、これからも精進を重ねてまいります!